社会的インパクト評価
休眠預金等の活用に当たっては、その成果を広く国民一般に分かりやすい形で公表し説明責任を果たす必要があります。そのために、事業実施においては達成すべき成果を事前に明示した上で、その成果の達成度合いを重視した「社会的インパクト評価」を自己評価を基本に実施することで、成果の可視化に取り組むこととしています。
休眠預金活用事業では、社会的インパクト評価を以下の通り定義しています。
短期・長期の変化を含め、当該事業や活動の結果として生じた社会的・環境的な「変化」や「便益」などの「ア ウトカム(短期・中期・長期 )」を、定量的・定性的に把握し、当該事業や活動に価値判断を加えること。「インプッ ト」「活動」「アウトプット」から「アウトカム(短期・中期・長期)」に至るまでの論理的な結びつきを明ら かにしたうえで、計画、実行、分析、報告・活用の4つの評価過程を経て実施される。
休眠預金制度における社会的インパクト評価の目的は次のとおりです。
・資金活用の成果の情報発信を積極的に行うことで、広く国民の理解を得ること(所期の成果をあげていることを伝え説明責任を果たす)。
・評価結果を適切に予算や人材等の資源配分に反映することにより、民間公益活動を効果的・効率的に行うこと(評価を活用した計画・進捗管理)。
・厳正な評価を実施することで、事業の質の向上、革新的な民間公益活動の発掘、民間の資金や人材の獲得等(事業に対する理解を得て、支援者の輪が広がる)を促すこと。
詳しくは、「学習・研修」の休眠預金等活用に関心のある一般の方向け:制度・社会的インパクト評価に掲載されている資料をご覧ください。
非資金的支援(伴走支援等)
JANPIA、資金分配団体および活動支援団体が行う非資金的支援(伴走支援等)は、それぞれ資金分配団体、実行団体や支援対象団体の創意と工夫が引き出されるよう、相互の対等なパートナーシップに基づき実施されています。また、必要に応じて外部の団体や専門家と連携して行われています。
具体的な支援の例としては、「組織基盤強化」や支援の出口戦略を検討し、社会の諸課題が自律的かつ持続的に解決される仕組みが構築されるような活動を指す「環境整備」が挙げられます。
組織基盤強化
目標設定(ビジョン・ミッション・バリューの確立)、人的基盤の確立、資金調達を含む財政基盤の確立、ガバナンス(組織統治体制)整備、評価実施の支援、調査・普及啓発等の支援などが想定されます。
環境整備
課題に共感する住民や団体(NPO・企業・行政等)をつなげるネットワーク活動、自らの活動の社会的意義や成果等に係る積極的な情報発信、問題を可視化し公的施策等の制度化を目指した提言活動等への取り組み、休眠預金等に係る資金を梃子(てこ)に新たな民間資金の調達などへの取り組み等が挙げられます。その活動は、社会課題、事業の性質、外部環境などによって異なります。
各団体が行う非資金的支援の提供は、固定化するものではなく、支援先の要望や状況に応じて最適化した形で実施されることが望まれます。
プログラムオフィサー(PO)
資金分配団体において、非資金的支援(伴走支援)の中心的役割を担うのがプログラム・オフィサー(PO)と呼ばれる職種です。休眠預金活用事業において、休眠預金活用事業におけるPOの役割は、主に以下3つに整理されます。
・社会や地域の諸課題を俯瞰的に分析し、それらの解決に有効な助成プログラムを策定し審査
・助成先に対する伴走支援を中心に、ヒト・モノ・カネ・情報といった様々な組織内外のリソースをコーディネート
・ワンストップで、実施のプロセスから成果に至るまでにおいて、助成事業運営・進捗管理・評価等の業務の中核的な役割を潤滑油のように果たしていく人材
ガバナンス・コンプライアンス
国民の資産である休眠預金等の活用に当たっては、事業の透明性や実施上の公正性も求められます。そのため、資金分配団体、活動支援団体、実行団体については申請資格要件として「JANPIAが規定するガバナンス・コンプライアンス体制等を備え、公正かつ適確に業務を遂行できる団体」を定めています。また、ガバナンス・コンプライアンス規程の策定・公表を義務づけています。
JANPIAが整備を求める、ガバナンス・コンプライアンス体制に関する規程類は以下の通りです。
(ア)コンプライアンス体制整備のための規程
(イ)組織の運営を公正に行うための必要な規程
(ウ)不正行為や利益相反防止のための規程
具体的には、以下の項目などが挙げられます。
・社員総会・評議員会の運営に関すること
・理事の構成に関すること
・理事会の運営に関すること
・理事の職務権
・監事の監査に関すること
・役員及び評議員の報酬等に関すること
・倫理に関すること
・利益相反防止に関すること
・コンプライアンスに関すること
・内部通報者保護に関すること
・組織(事務局)に関すること
・職員の給与等に関すること
・文書管理に関すること
・情報公開に関すること
・リスク管理に関すること
・経理に関すること
規程類を整備し、それに基づいた団体運営を行うことは、団体の信頼性を高めます。そしてこれは、休眠預金を活用する団体に特に求められるものです。
情報公開
休眠預金等活用事業の原資が国民の資産であることから、国民への説明責任を果たすため、 情報開示の徹底、制度全体の透明性の確保等が強く求められています。
公募(助成・活動支援団体)に関する情報公開
休眠預金を活用する団体の公募(助成・活動支援団体)にあたっては、選定の有無にかかわらず、全ての申請団体の情報を公開しています。
人件費の水準及び規程類の公開
資金分配団体及び実行団体、活動支援団体は、国民の理解が得られるよう人件費の水準、ガバナンス・ コンプライアンス体制に関する規程類等を自団体のWEBサイトで公表することとしています。
情報公開サイト
JANPIAは、資金分配団体及び実行団体、活動支援団体が助成システムへ登録した情報のうち公開情報として登録された情報について、広く一般に公開できるものとしています。事業の実施に関する情報は、情報公開サイトで閲覧することができます。
連携・協働
休眠預金等を活用する団体が、社会課題の解決に向けて取り組むに当たっては、その活動地域や事業分野等に応じて、多様な関係者と連携・協働していくことが求められます。
JANPIAは、資金分配団体や活動支援団体の選定の際、「連携と対話」を審査基準に含め、多様な関係者との協働、事業の準備段階から終了後までの体系的な対話が行われることを期待しています。
資金分配団体担当者向けイベントの様子
その他休眠預金活用事業の特徴(助成金を中心に)
助成金について
民間の団体の創意と工夫を活かすために、休眠預金等に係る資金の柔軟な活用を図る観点から、従来の行政による補助金等では一般的にカバーされてこなかった民間公益活動の実施に係る人件費や設備備品費、成果評価の実施に係る経費等についても助成の対象としています。なお、助成金は、概算払いで事業開始のタイミングで支払われています。
また資金分配団体については、伴走支援の担い手となるプログラム・オフィサー(PO)の人件費を含む活動費用を申請することが可能です。
助成期間について
資金分配団体は、実行団体に対して3年を上限に複数年度にわたる助成を行うことができます。
コンソーシアム
申請事業の意思決定及び実施を2団体以上で共同して行う場合には、コンソーシアムで申請を行うことができます。コンソーシアムを構成する団体から幹事団体を選び、助成金の申請は幹事団体が行います。