資金分配団体、実行団体向けに、社会的インパクト評価の結果が理解できるよう、報告書に必ず含めていただきたい事項を示した「事後評価報告書に含める事項」という資料を休眠預金活用プラットフォームで提供しています。事後評価計画時、報告書作成時にご参考ください。なお、事後評価報告書の書式は自由です。ファイル形式や項目の記載順等は各団体でお決め頂いて構いません。
事業設計図とは、目指すゴールにどのように辿り着くのかという仮説を可視化し、またその長い道のりの中で重要な軸がずれることなくゴールに向かって進むための道しるべとなるものです。事業は、ひとりですべてを実施するものではなく、多くの関係者との連携、協力によって成り立ちます。そのため、事業設計図を作成する際にも、実際に事業に関わる多くの人と協議しながら作成することをお勧めします。場合によってはひとりで作成することも考えられますが、その場合であっても作成した後に自団体スタッフや外部の連携組織、資金分配団体の担当プログラムオフィサー(PO)などに相談し、 ブラッシュアップすることが推奨されます。
事業設計図は、設計した時点での「事業仮説」を表したものとなりますので、事業を実施する中で得た気づきや学びから、事業設計を変更することは十分考えられます。また、休眠預金等活用制度ではこうした事業設計の更新を推奨しているタイミング(各評価実施後など)がありますので、そうした機会に、事業設計をブラッシュアップすることが可能です。
実行団体向けにハンドブックを作成していますので、ご活用ください。
>JANPIAサイト|実行団体向け評価ハンドブック~事前評価 事業設計図編~(外部リンク)
関係者分析とは、解決しようとする問題に対して、活動の対象となる地域や周辺に住む人々、関連するグループ、関わる組織・機関の分析を通じて、その地域の課題、問題、現状を把握することをいいます。
【関係者分析の進め方】
① 関係者を書き出す
事業対象グループ、受益者、事業実施者、地域の代表者、事業の物事を決定する際の関係者、事業の実施を支援する関係者、事業費用を負担する関係者、事業の助言を行う専門家、自治体、潜在的反対者、事業によりマイナスの影響が想定される関係者、事業で直接的または間接的に関わることが想定される関係者などを、カードにできるだけ多く、具体的に書き出します。関係者分析への参加者が多様であるほど、さまざまな観点から関係者が列挙され、現状を多角的に見ることができます。
② 関係者を分類する
カードに書き出した関係者を分類します。どの関係者が、どのような役割や立場を担うことが想定されるかを分類します。分類例:受益者、地域代表者、事業の協力者、潜在的な事業の反対者、費用負担者、事業実施者など
③ 重要な関係者を選ぶ
分類された関係者の中から、重要と思われる関係者を選びます。 活動により誰の問題を解決すべきか、その理由を明確にしながら選びます。ひとつに絞りにくい場合は、複数でも構いません
④ 詳細に分析する
選ばれた関係者の、基本情報(人数、年齢、予算、教育程度、組織体制、社会的・文化的特徴、経済状況など)、抱えている問題や弱点、必要な支援、強み、対応策など、詳細情報を整理します。抱えている問題や弱点、必要な支援、強みは、誰にとっての事実なのかを明確にすることが重要です。
⑤対象グループを仮決めする
事業の実施により、プラスの変化をもたらすことを意図した主たる対象者を仮決めします。対象グループを適切に絞り込むことは、より多くの対象者に支援を届けるために重要です。
通常、社会課題は複数の要因に起因しており、それを引き起こしている主要な原因のほか、間接的な原因が存在しています。問題分析では、現状における問題を引き起こしている原因を分解し、階層化していくことで、論理的に問題構造を把握し、問題の本質を探ることを目的とします。問題分析で明らかになった複数の要因に対し、事業がどこに集中的に介入すると、より効果的に社会課題の解決に結びつくかを分析します。
休眠預金活用事業は「自己評価」を基本としています。自己評価の結果の妥当性・客観性を担保し、評価結果の有効活用を促すために、評価内容の点検・検証を行います。実行団体の自己評価については資金分配団体が、資金分配団体・活動支援団体の自己評価については指定活用団体であるJANPIAが点検・検証を行います。
事業の実施によるアウトプットがもたらす便益や変化のことを言います。 知識・行動・態度・スキルなどの変化(短期あるいは直接アウトカム)から個人の行動変容、周囲・社会の変化(長期あるいは最終アウトカム)までが含まれます。
事業の実施により生み出された結果を言います。
指標とは、ある状態を「客観的」にわかりやすく示すために、何によって測るのかを示したものです。休眠預金活用事業における評価では、個々の評価小項目の達成度を判断するために、指標(何で測るか)、判断基準値(目標値・目標状態)の設定が必要です。これらにより評価の価値判断の根拠が明らかになります。誰が、どのように判断したのか、根拠となる数値や状態を明確に設定し、「事業者が判断基準を明らかにせず、自分の都合の良いように評価をしている」と思われないよう、客観性を示すことが大切です。
下記のような点を確認しながら、事業の特性に合った指標を設定することが大切です。
○目的に合った指標か
何のために測定するのか、測定目的にあった指標かを確認します
○測定可能な指標か
設定した指標は、誰もが同じように測定できる内容に具体化されているかを確認します
○比較可能な指標か
同じ分野ですでに広く使われている指標が存在する場合には、その指標が使えるかを検討します。環境の違いを考慮する必要性はありますが、自分たちの事業を、ほかの団体が行ってきた実績と比較して評価することができます。
○管理可能な指標か
ひとつの事象を測るための指標の数が多すぎると、情報過多になり解釈が難しくなる恐れがあります。指標が多すぎると感じる場合には、目標の抽象度が高すぎたり、関係者間の共通認識を十分に形成できない可能性が出てきますので、目標を細分化することも検討します。
短期アウトカム指標とは、事業実施中や事業終了時に、短期アウトカムの達成の度合いをどのように測るかを示すものです。短期アウトカムに対して、どのような判断基準であれば「アウトカムを達成した」といえるのか、具体的な状況に落とし込むことで、指標を導き出します。指標を設定する際には、たとえば、5W1H(対象、種類、量、質、時期、地域・場所)のような具体的な判断基準を意識して設定します。短期アウトカムを測定する指標がその分野で確立されていない場合には、「信頼性」「妥当性」「感度」の観点から、設定する指標を検討します。信頼性は繰り返し同じ測定方法で測定した際に、一貫した解釈が可能な程度、妥当性は測定しようと意図しているものを実際に測定できている程度、感度は短期アウトカムの変化や差異を捉える程度を指します。
適切な指標が定まらない時には、短期アウトカムの変化を多面的に捉え、お互いの測定尺度の弱点を補うように検討します。特に、短期アウトカムの変化や差異の質を捉えるためには複数の指標設定が有効です。また、新しい取組みを行う事業では、事業期間をとおして指標の見直しを行い、より的確に短期アウトカムを捉える指標を開発していくことが求められます。短期アウトカム指標は、収集するデータの特定に基づいて定量あるいは定性データを選択します。定量と定性データのどちらかに偏りすぎず、それぞれの特徴を理解して短期アウトカムの変化を捉えるようにします。